知 事 答 弁

 二−6 中海をめぐる諸課題について 

 江島大橋の完成によりまして、どういう影響がこの地域にもたらせるのかということであり
ますが、これは先ほど冒頭申し上げました環日本海時代の拠点としての境港、この背後地
を結ぶ動脈の一端だと思います。中海圏域の動脈の一部と言うとちょっと語弊がるかもし
れませんが、その一端ができたということであります。日本海時代の拠点づくりに大きな力
を発揮すると思います。

 何よりも鳥取、島根両県を結ぶ大動脈であります。従来あの地域は、交通は非常に難儀
をしていた面があります。船が通るたびに道路が通行不能になるという、それが解消される
ということでありますし、何よりも大型の観光バスが行き来できるということでありまして、あ
の地域の観光の広域化、ネットワーク化については大変大きな力を発揮すると思います。
いずれにしても中海圏域が一体性を増し、これから飛躍するその基盤になるだろうと思い
ます。


 中浦水門の撤去工事がもたらす影響などにつきまして国の反応はどうかということであり
ますが、私どもは国から撤去についての同意を求められた際に、同意するけれども環境影
響評価調査をちゃんと実施するようにというそういう意見をつけているわけでありまして、そ
れについては国も誠実に対応しつつあります。もちろん今後何か気にかかることがありまし
たら、随時国に申し上げていきたいと思いますが、今のところ、そういう点はないようであり
ます。

 現状等につきましては、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。


 同じく、中海の淡水化中止に伴います堤防の開削問題でありますが、農政局長の通知の
中に幾つかの表現があって、それをどう認識しているかということにつきましては、文言の
解釈等につきましては農林水産部長の方から御答弁申し上げますが、決意表明ということ
になりますと、私、前から申し上げておりますとおり、ぜひ開削をしていただきいたい。淡水
化をするために堤防をつくったわけでありますから、干拓するために堤防をつくったわけで
ありますから、本庄工区については干拓もしない、淡水化も中止ということになりましたら、
それならばできる限り自然のもとの姿に近い形に戻す、その努力をするのがやはり我々の
務めではないかと思うのであります。

 もちろん全部撤去などということは非現実的でありまして、どうしても部分的なものになら
ざるを得ないということは、了解をしておく必要があるだろうと思います。その上で、国や島
根県に対して開削を要求し、主張するというスタンスだろうと思います。

 今、財政問題、非常に厳しい時期でありまして、農水省の方も、財務省といいますか国の
財政当局とのやりとりも実はあるわけでありまして、そういう財政問題があるということ。そ
れから、今現実には道路として活用しているものですから、開削をして、仮にしっぱなしに
なったらとんでもない話になるわけで、開削をしたら、そこに道路機能を回復させなければ
いけない。それがまた橋梁ということになりますから、相当膨大な財政負担をもたらすとい
うようなこともあります。

 そんなこともありますので、どこまでが現実的か、これも理想と現実との調和、調整という
ことになりますけれども、そんなことも視点に置いておきながら、できる限りの開削を要求し
ていくということを今やっているところであります。


 ラムサール条約の登録に向けてのスケジュールはどうかということでありますが、これは
生活環境部長の方から御答弁申し上げます。


 中海の湖沼水質保全計画では、浄化に向けて行政とか企業だけではなくて住民の県民
運動、一大県民運動のようなものが必要なのではないか、ライフスタイルの問題にも踏み
込んで県民運動が必要なのではないかというのは、私も大賛成であります。全くそのとおり
だろうと思います。環境問題、地球環境になりますと、私一人がやってもということをよく聞
きます。廃棄物の問題などでも、分別を徹底して再資源化とか再エネルギー化を図りましょ
うということをやったときに、私一人ぐらいはと言うのですが、確かに私一人では何もならな
いのですが、私一人がみんなやらなかったら何もできないわけで、逆に言えば、私一人が
みんなやれば物すごい力になるわけで、まさにシンクグローバリー・アクトローカリーという、
地球規模で考え、一人一人行動するということもありますけれども、湖沼の水質保全問題
なども同じようなことだろうと思います。

 実際に今、西部地域では、中海の水質浄化に向けていろんな団体がいろんな活動をされ
ております。大変結構なことだと思います。これらについて生活環境部長の方から現状など
ご説明申し上げますが、こうしたグループや団体などとも連携をとりながら、運動の輪を広
げるようにしたいと思います。


 国交省が大橋川の拡幅について具体的な動きを始めたがどうかということであります。

 いよいよ来たなという表現をされたと思いますが、この問題は非常に長い経緯がある問題
でありまして、斐伊川、神戸川の治水計画の一環として大橋川の問題を取り上げるというこ
とには基本的にはなっているわけであります。ただ、それが下流であります鳥取県側、特に
弓浜半島における治水の問題などにどういう影響を与えるのかというか、影響を与えない
ように、そのために必要な手当てをしなければいけないということで、その中で国交省がこ
の事業に着手するときには鳥取県の同意が要りますということになっているわけであります。
あわせて島根県からも、鳥取県に協議があって、そこで両県間の協議が調わなければいけ
ないということになっているわけであります。その協議というものが近いうちに来るだろうとい
う、今日そうなっているわけであります。

 既に平成13年6月に実は事前調査の同意をしているわけです。このときにはっきりと私
の方から申し出たのでありますけれども、事前調査は河川の形態をいじりませんから、そ
れはいいですけれども、いずれ将来、実際に工事に着手するということになる段階、そのと
きにはまた協議が来て同意を求められますけれども、そのときには本庄工区の堤防開削
についての具体的な方針が確定されていない限り、拡幅工事の実施については同意しない
考えであることを島根県は十分認識するものであるというこういう一文を実は確認書に入れ
ておりまして、私どもが鳥取県として本庄工区の開削問題に我々が納得できる決着がつか
ない限りは、大橋川の拡幅問題には同意できませんよというそういう意志を明確にしており、
そのことは島根県もよく認識をしていただいているということであります。

 今後、いずれお話がきて、いろいろ協議が行われると思いますけれども、この点を我々の
基本方針にこれからもしていくところであります。



  農 林 水 産 部 長 答 弁    

 中海の問題で2点お答えをいたします。
 まず、撤去工事に伴う影響調査ですけれども、先日11月29日に農水省から実務グルー
プ検討会の席上で資料が示されて、説明を受けております。これによりますと、環境への配
慮、経済性といったことから、工法をご質問の中でおっしゃいましたようにワイヤーソー工法
に見直す。環境への影響を予測をしておりますけれども、その予測によれば軽微であると
いうことでございます。水質、騒音、振動に加えまして、撤去工事中には魚類、あるいは鳥
類への影響についても監視を行う予定であるというふうに説明を受けております。

 県といたしましては、引続きこれらのことをきちんとチェックし、確実に実施されるよう注視
し、また要請をする考えでございます。

 2点目でございますが、中国四国農政局長からの通知の文言の解釈についてでございま
す。堤防開削について、文言によりますと「両県を含む関係機関で協議し、その結論に基
づく必要な対策を講じた後」云々となっておりますので、必要な対策を講じるのはだれかと
いうことがご質問でございましたけれども、その結論に基づく必要な対策ということでござい
ますから、事実上四者協議の結果、そこで決まったことに従って対策を論じるということで
すから、文理上でいえば、まだ今の段階でだれとは決まっていないということになろうかと
思います。

 しかし、この協議というのは、干拓淡水化が注視、それを受けて後どうするかということで、
我々は開削をという主張をしておりますものですから、農林水産省が実施されるべきものと
いうふうに我々は考えております。そういうふうに主張しているところでございます。

 完了年度のご質問がございました。今の手続中の廃止処理計画書では、予定時期が平
成20年度となっております。ですから平成20年度ということになるわけでありますけれども、
ただし、先ほど言いました譲与も事業の一環でございますので、譲与がなされない限り事業
は終了しない仕組みになっております。一応の目安が平成20年度ということでございます。





  生 活 環 境 部 長 答 弁

 1つ目が、ラムサール条約のスケジュールであります。

 今後の事務手続ですけれども、環境省が進めていくと思いますが、まず地元自治体の同
意を得た上で、国としての登録の意思決定を行い、さらに来年11月、アフリカのウガンダで
条約の締約国会議がございますので、その場で登録を予定しているということであります。

 具体のスケジュールについては、環境省からはまだ示されていないという状況であります。

 そうした流れの中で、地域におきましてもラムサール条約の趣旨であります自然と人間活
動の共生ということを実現するということが非常に大事だと思います。賢明な利用というよ
うな言葉も使われていますが、中海を保全、再生しながら農業、漁業、あるいは観光レクリ
エーション、環境学習等々の場としてどういうふうに活用していくかということについて、地元
の住民、あるいは農業者、漁業者の方が自ら考え、実践していくということが重要だと思っ
ています。

 11月に境港市、米子市両市の呼びかけで、中海賢明利用協議会というのができていま
す。この協議会において賢明な利用について協議、検討するというのも聞いておりますし、
広報啓発活動もやっていくというふうに伺っております。

 この協議会にさらに地域の住民の方、有識者の方等が入っていただいて、輪が広がって
いくことを期待していますし、県としてもこれを支援していきたいというふうに考えております。


 2点目は、水質浄化であります。

 中海の流域の鳥取県側ですけれども、今8万人いらっしゃいまして、そのうちで下水道な
り合併浄化槽に接続ができているのが約半分、残りの半分は台所とかお風呂とかの水を
そのまま公共用水域に流しているという状況でありますので、やはり生活意識を変えていく、
具体的には台所の水にごみを入れないとか、あるいは油を流さないとか、そうした本当に
小さな取り組みですが、これは非常に大事だというふうに思っています。

 また、ご指摘の中にありましたように、生態系回復を通じて水質浄化していくということも
力点を置くことを考えていまして、こうしたことにつきましても、県民が主体となった水辺の
植栽とか、ビオトープの整備とか、あるいは休耕田を活用した生物による水の浄化とか、こ
ういったことが大事になってくるというふうに考えています。

 もう既に西部地域で担当実践活動が行われています。水質の浄化ですと、例えば彦名地
区の環境をよくする会が、長年に渡りまして地域で機関紙を発行して普及啓発活動をやっ
ていますし、あるいは地域の子供も巻き込んで、体験学習、水質浄化の取り組みの実践と
いうものをやっていただいております。あるいは企業が集まった米子地区環境問題を考え
る企業懇話会で一斉清掃をしたり、あるいはNPOが休耕田を利用して水質浄化を進めて
いこうということを行ったり、等々の活動をなさっているところであります。

 県としても、さらにこういって取り組みが県民運動に発展していくということが重要と考えて
おりますので、第4期の水質保全計画の中でも主要な柱として位置づけまして、県民主体の
取り組みを応援していきたいというふうに考えております。




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